CNC（omiocnc X4-800L-USB）特集（３）運用状況

永らく更新していなかったCNC（omiocnc X4-800L-USB）に関する記事についての更新。
導入から4年余り、トラブルもなく快調に動いています。
運用してみて感じた点について簡単にまとめました。

オーダー仕様
​omiocnc X4-800L-USB
​購入時のオプション選択は以下の通りです

• 100-120Vモデル

• スピンドル：空冷式800W
  • 水冷式と迷いましたが、モーターの冷却ファンが多少エンドミル周辺の切粉を吹き飛ばしてくれるのと、設備が少なくて済むので空冷式を選択しました。ここら辺は考え方次第だと思います。 
  • ケミカルウッドなど空気中に粉塵が舞う加工がメインの場合、スピンドル内に吸いこまれてしまうので水冷の方がよさそうです。
• レール：リニアガイドを選択
  • 精度を求めて。現在は標準装備になっているようです。
• 4軸加工ユニット付き
  • 今のところあまり活躍の機会がありません。次の製品試作で試してみたいです。

導入時に行ったメンテナンス・改造

• 原点スイッチの結線が外れていたので直した
• Y軸のスクリューねじに遊びがあったので、スラストベアリングを挟んでガタつきをなくした。
• 面出しワークテーブルをPOM樹脂板で自作、取り付け
• ねじの締め直し等
• 防音・防震箱の作成
• リモコンの電池がすぐ切れるので、リモコン自体にSWをつけた

これまでに切削した素材

• 金属類
  • 真鍮
  • アルミ
• 木材
• 樹脂
  • ABS
  • POM
  • アクリル
  • ケミカルウッド

​​
頻度的にはt10厚までのアルミ（A5052）切削が一番多く、次点で樹脂切削です。


集塵について
導入時は常時集塵システムも検討しましたが、運用してみて問題なかったので基本的には切削後にまとめて清掃しています。
（切削油を用いた金属加工が多く、細かい粉塵が少ない運用なのもあります。）
サイクロンアダプタを噛ませた集塵機で一気に清掃しています。


国内機CNCとのざっくり比較
ちなみに以前使っていたoriginalmind社のRD-420と比較した場合、以下のような感じでした。

　X4-800Lが優位な点

• スピンドルモーター
  • パワーが大幅に高く、素材に負けづらい。
  • 回転速度の調整が細かく指定できる
• 価格
• 緊急停止ボタン
• より正方形に近いワーク形状（円形を切るときに便利）
• Z軸を設定するためのプローブが付属している
• リモコンがついている

　RD-420が優位な点

• フレームの剛性・精度感（RD-420は鉄鋳物系。精度を要する加工には差が出るかも）
• サポートの充実度・安心感
• 手動フライス的な使い方もできる
• メンテナンスしやすい
• 購入から運用までに調整すべきことが少ない

そもそも値段の差からくる造りの違いは大きいですが、機能の充実度やパワーを考えるとX4-800L侮れないぞという印象。
特に、３Dプリンターやレーザーカッター、他の工作機械にもお金をかけなければならない我々のような事業者には嬉しい選択肢ですね。


まとめ
導入時の手間やカスタムの必要はあるものの、個人製作者～小規模事業者には嬉しい価格帯で色々試せる工作機械だと思いました。アルミを中心とした切削を考えていて、機構部品等をガンガン作りたい方には良いかもしれません。

スピンドルモーターが800Wからで、各軸のステッピングモーターも強めなのでパワー面は余裕がある感じです。
樹脂やアルミに関しては問題なく切削が可能ですし、真鍮も削ることができたのは大きな利点でした。
フレームがアルミなので剛性が気になるところでしたが、現状製作している物の範囲では精度は十分な感じです。
（運用に寄りますが、0.1～0.01mm単位までは追える印象。）
故障したことはないため、サポート面については分かりません。

いずれ、実際のキンミライガッキでの製作活用事例もご紹介できればと思います。
それでは、よきファクトリー・ライフを！

（新工房CNC担当）